人権学習と関連させた単元型学習5

公開日: 2019年1月21日月曜日

次に扱ったのは、「二わのことり」です。これは、いわゆる「定番教材」なので、多くの方がご存知ではないかと思います。簡単に内容を説明すると、みそさざいを含めた小鳥たちは、やまがらには誕生日に誘われ、うぐいすには歌の練習に誘われます。小鳥たちは、やまがらの「遠くのさびしい」ところにある家ではなく、「明るくてきれいな」うぐいすの家に行きます。みそさざいは、最初うぐいすの家に行くものの、途中から抜け出してやまがらの家に行くという話です。

導入では、テーマ「嫌な思いをしないためにどうしていけばいいだろう」について、前回の道徳で考えた、「優しさ」を振り返ることから始めました。その後、「今、あなたたちは、みんなと仲良くできている?」と聞くと、「う〜ん、分からない」という反応が返ってきました。そこで、「どうすれば、友達と仲良くできるかを、『二わのことり』のお話から考えていきましょう」と投げかけ、紙芝居形式で読み聞かせを行いました。
感想を聞いていく中で、Aさんが「やまがらの家に行ったみそさざいは、人の気持ちを考えているけど、うぐいすの家に行った鳥たちは、人の気持ちを考えていない」と発言しました。周りの子どもたちも「確かに」と反応します。この反応を受け、「でも、みそさざいはうぐいすの家にいたんでしょ?」と問い返しました。すると、「考えてた」「どっちに行こうかなって考えてた」と反応が返ってきました。そこで、「みそさざいは、うぐいすの家にいたとき、どのようなことを考えていたのかな」と問いました。



周りの友達と話し合った後、Bさんが「やまがらさんのせっかくの誕生日だから、だれもきてくれないのはかわいそうだからってみそさざいさんが考えて、やまがらさんの家に行こうかなと思ったんじゃないかなと思いました」と発言します。そして、Cさんが「どっちに行こうか迷っていて、きっと、だれもやまがらさんの家にはきていないと思って行った」と、「迷い」があったと発言しました。
そこで、「どんな迷いがあったの?」と全体に問うと、Dさんが「やまがらさんの方に行こうかなとか、うぐいすの方に行こうかなと悩んでいた。どうしてかというと、もし、みそさざいさんがうぐいすの家に行っていたら、やまがらさんはとてもさみしいし、一人で誕生日を過ごすことになって、最悪の誕生日になってしまうから、みそさざいは一人でも行こうと思っていた」と述べ、さらに「うぐいすの家にも行きたいけど、やまがらさんの方が、多分大切だと思っていた」と続けました。それを聞いていたEさんが「何で大切だと思ったんですか?」と尋ねます。Dさんがその質問に答えられないでいると、周りの子どもたちが「分かった!」と手を挙げ出しました。
その理由について、Fさんが「どうして、やまがらさんの方に行く方が大事だと思ったかというと、音楽会の練習の方は、1年で何回でもできるけど、誕生日の方は1年に1回しかないことだから、大事だと思った」と、音楽会の練習と誕生日を比べて発言すると、Gさんが「どうしてやまがらさんの方に行く方が大事かというと、だれもやまがらさんの方にきてくれないし、やまがらさんがさみしいから行ったんだと思いました」とやまがらの立場に立った発言をします。
 このやり取りだけでも、子どもたちが、みそさざいの立場に立って深く考えていることが分かります。この後もやり取りが続きますが、ある子どもの発言で、みんな(私も含め)の思考がさらに深いところへと向かっていきます。詳しくは、次回お伝えします。
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